押入れの、布団が積まれている一段めの中に、薄暗いその隙間に小さな白い顔が縦に3つ並んでいました。
不揃いな凹凸をした紙粘土のようなもこもこした質感で横に切り込みを入れただけの目と口がそれを顔だ、と無意識にそう感じさせました。
あっ、と思ったときにはもう遅かったようでそれは近寄るより先に逃げてしまいました。
テレビの出演者たちは首を415°回転させて笑っています。
こっちはそれどころじゃないっていうのに。
押入れにああいうものが居着いてしまっては困ります。
追い出さないといけません。繁殖されてもやっかいです。
ああでも、うちに押し入れはもうなかったんです。
うち、引っ越しちゃったから。テレビもそのときに捨てちゃいました。
回ってたの、私の首だったみたいです。笑ってたのも。