BL

知らないを知りたくて

愛しい貴方の姿は今日もなく、残されたのは置き手紙。貴方の行き先を告げる標。それを頼りに、湖へ。律儀に置き手紙を残しこそするが、行き先はたいていここだ。虫や鳥の声すらない静かな空気。あるのは水の流れる音ばかり。穏やかな日差しが差し込む湖畔の木…

頁外1.嘘をついていい日

※エイプリルフールネタ、眷属化後のいつかの時空「今日は嘘を吐いてもいい日なんだって」にこにこしながら唐突に言い出す咲々牙。よくあることだ。それでいきなり買い物に行ったり、星を見に行ったり色々付き合わされる。そうやって強引に付き合わされるのも…

2.疑

半分の月が窓から顔を覗かせる頃、涼しい風がカーテンをゆらし吹き抜けていく。そんな景色を眺めて艷やかな黒髪のあの人は微笑んだ。あの日、両親を亡くしてからオレはあの人――咲々牙と一緒に暮らしている。遺体は見ないほうがいい、とすぐにあの人が埋葬し…

誰かの日記

2/16今日は何もなかった。アナベルに睨まれたような気がした。あの二人はよくわからない。少し怖い。2/17あの人が地方へ演説しに行くらしい。食料として僕は連れて行かれるようだ。ヅゥリンは留守番だと伝えられ不満げな顔をしていた。2/18馬車は…

1.捧

初めて、美しいと思えるものを見た。これまで私はただ一度も心を動かされる事はなかった。そう、あのときまでは。"大いなる夜"から零れ落ちた私たちは幾百幾千も歳を重ねた。けれど、私にとってこの世界はあまりに退屈だった。同胞である姉妹はそうではない…

リュシアンとヘイタンが添い寝する話

出てくる人ヘイタンいわゆる攻め。リュシアンの主でリュシアンを自分の部屋に呼び出して遊ぶのが数少ない楽しみ。リュシアンを愛玩生物だと思っている。暑苦しいのは嫌い。リュシアンいわゆる受け。ヘイタンに愛と恐怖と複雑な感情を抱いているが基本的には好…